|
読書の周期はまだ継続中です。 こちらは守り人シリーズの外伝的な短編集です。 バルサやタンダの子供の頃が描かれています。 短編なのですが、いろんな物が凝縮されていて読み応えは長編の物語になんら引けをとる事がありません。 番外編とはされていますが、独立した物語として楽しめますので、守り人シリーズを知らない方が読んで、そこから守り人に進み成長したバルサやタンダに出会うという読み方も楽しめると思います。
物語を読んだ瞬間に匂いを感じました。 読んだだけで五感に訴えかけてくる物語というのがあるのですけど、自分の経験した物事から昔感じたことのある部分を文章をたどることで引き出すような物語です。 このお話で感じたのは昔、祖母の家に遊びに行った時の納屋の匂いです。 土ぼこり。精米したての米。籾殻。湿った土……。なんか、いろんな物がない交ぜになった田舎の……農家の匂い。 小さい時、一人前に扱ってくれるのがうれしくて(実際にはそんな手伝いにもなってないけど)、小さな庭用の鍬を持って草取りとか手伝っていた時の掘り返した後の湿った土の匂いとか。 そうした小さい頃の記憶にあるいろいろがよみがえってきたのです。 あの、農家特有の匂いはそういえば、祖父母の家でしかなかった物でした。 都会にはありえない。だけど、比較的田舎ではあっても小規模な家庭菜園しかない趣味で畑を作っている我が家では味わうことのない匂いでした。 それは米の匂いだったのでしょうか。穀物だったのでしょうか。 いまだにその匂いの違いがなんだったのかわからないのですが。 また、この物語ではいろんな人物の、物語では語られなかった降り積もり積み重なった人生の片鱗が見えます。 それぞれの人生を背負い積み重ねた人々が、つかのまその歩みを交錯させて出会う。 一時の会合。 もう、二度と出会う事がないかもしれない人々です。 でも、その出会う前に彼らが送っていた人生やそれぞれの決断。それが、彼らの行動ににじみ出ています。 何故、このときにこの人はこのような行動をとったのだろう?どうして、こういう道を選んだのだろう? 読み手には(そして、バルサも)想像する事しかできない彼らだけの人生を彼らは歩んでいます。 いつか……。十年…いや、二十年以上経ってから、私はこの物語を読んで何を感じる事ができるでしょうか。 彼らと同じ分ぐらい人生を歩んでみて、彼らの気持ちが少しでもひとかけらだけでも感じる事ができるでしょうか。 それとも、やはり想像することしか出来ないでしょうか。 そんないろんな人との出会いの中で、バルサもまた13歳という年で父を失い、故郷を失ってさまよう少女。 彼女もまた彼らと引けをとらないほどの、いろんなものを背負った子どもです。 子どものバルサから強く感じたのは自分の運命に対する激しい怒り……。 守り人本編でもその怒りについては描かれていましたが、少女だった頃のバルサにはそれがさらに強く強く出ています。 彼女はこの怒りをずっと自分の中で育ててきた……。その怒りなどの様々な感情が『闇の守り人』で一定の浄化をみる(はぅ〜。守り人、また読み返したくなってきた;;) 後は子どもタンダでしょうか。 バルサのようにいろんなものを背負ってはいないけれども、少し人とは違っている少年。 この子がもう、本当にかわいくてですね!!(出てきたよ。感想に私の本性が) タンダ視点で描かれている「浮き籾」というお話がすごく良かったのですよ。 なんにでも興味を持つ少し変わった子みたいな。 バルサを姉のように慕っている所とかv 逆にバルサもタンダといると和んでいる感じですよね。 ぶっちゃけ、姉というよりも兄かもしれんと思う瞬間もないではないですが、所々やっぱり姐御っぽいとか思いました。 この二人ってば擬似姉弟でもいけるかもしれんとか思いました(あんた……) 最終形態はチャグムと一緒に擬似家族ですが(笑) でも、タンダのお母さんとの会話でバルサがいろいろと母について思うところがあったのだろうなと思うと目の奥がツーンとしてきて切なかったですよ……。 他にもジグロとバルサのこととかもいろいろと書きたいですが、この辺にしておきます;; どの短編も珠玉でしたのでオススメです。 流れ行く者―守り人短編集 (偕成社ワンダーランド 36) (偕成社ワンダーランド 36) 偕成社 上橋 菜穂子 ユーザレビュー: 1ページめくるともう ... 圧倒的な描写力!!前 ... 少年少女時代番外編 ...Amazonアソシエイト by ウェブリブログ |
| << 前記事(2008/07/06) | トップへ | 後記事(2008/07/15)>> |
| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
|---|---|
流れ行く者 守り人短編集
守り人シリーズの外伝的な短編集。 シリーズ第1作の精霊の守り人より前の短槍使いバルサの少女時代、養父ジグロと連れだってカンバル王国からの追っ手を避けながら武道の訓練を受け護衛士として鍛えられながら育っていった経緯を短編でまとめています。 少年時代のタンダの思いと、素っ気ないながらにタンダに好意を持つバルサの関係がほほえましく読めます。護衛稼業を通じて大人の男たちの喧嘩だけでなく、サイコロ賭博にも知識と技を深めていくバルサのたくましさには、同時に少し胸を痛めますが。 基本的には、守り人シリ... ...続きを見る |
伊東良徳の超乱読読書日記 2008/07/28 01:06 |
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|
| << 前記事(2008/07/06) | トップへ | 後記事(2008/07/15)>> |